いのちの始まり
「おめでとうございます。妊娠してますよ」。
「えーっ?ほんとですか?」
「はい。この動いているのが心拍ですよー。勢いがあってしっかりしてますね」。
患者側に設置されたエコーの画面では確かに小さな点がピコピコとせわしなく動いている。
診察室で女性医師と向かい合い、自分の妊娠が信じられずにぼーとしていると、
女性医師は「まあ、まだまだこれから関門はありますけど、まずは喜びましょう」とカルテを閉じた。
胎芽 2.5ミリ
心拍 111bpm
アラフォーで授かったいのち。
自分のお腹のなかで
また別のいのちが小さいけれど確かな動きを刻んでいることに感動して
ただただ心が震える。
診察の後に撮影した空の写真。
この日の夕暮れの美しいグラデーションを一生忘れないだろうと思った。